●思想と権威の象徴●
ケープやマントはかつて、男女を問わず好まれてきたものですが、防寒のためにだけ着用されていたのではありません。ときには個人の思想をあらわし、また階級や権威を表すための装飾的な衣装でもあったのです。
古代には、麻の布を巻きつけるだけの単純なスタイルでしたが、中世には円形や半円形に裁断した布を身にまとい、留め金を片方の肩口で止めるスタイルなどに変化していきます。中世のヨーロッパにおいても、ケープは根強い人気を保ち続けました。デザインのバリエーションも増え、織物技術が向上するにつれて素材もより贅沢なものへと発展していきました。上質の毛織物や毛皮、刺繍や宝石などをあしらった豪華な衣装は、身につける人の自尊心を大いに満たしたことでしょう。
●ヨーロッパの女性に愛されたケープ●
近世になると、ケープは日常的に愛用されるようになりました。レースの縁飾りがついた丈の長いケープ、毛皮で作ったケープ、夜会用のケープと女性たちもさまざまなケープを着るようになります。生地にはビーズがあしらわれたり、美しい刺繍がほどこされているものも多かったようです。
なかでも、芸術的で女性らしい印象を与える立ち襟のスタイルは、ずいぶんもてはやされたとか。顔を囲むように広がった立ち襟のケープは、首をほっそりと長く見せ、表情をひきたてる効果もあります。ヨーロッパの女性たちは、実用的でおしゃれなケープがすっかり気に入ってしまったのですね。彼女たちの好みやセンスに応えて生まれてきたファッションが、今日まで受け継がれているのです。
●日本への伝来はいつ?●
16世紀頃、ケープはポルトガル人によって日本へと伝わりました。日本における最も古いケープは、武将たちが着物の上に纏ったビロードのケープだともいわれます。当時の男性たちは、ポルトガル人が羽織っていたおしゃれなケープが気に入ったのかもしれません。見たこともないハイカラな衣服を目にして、異国への想像力を大いに掻きたてられたことでしょう。
その後、ケープは男性のための外衣として独自の発展を遂げてきました。そして徐々に、日本女性のファッションにも影響を与えていきます。取りはずしが可能な機能性の高いデザインも好まれ、流行を取り入れた新しいスタイルも登場しています。歴史はずいぶん古いですが、今なお目が離せないアイテムのひとつです。